意地悪
課長が持ってきた料金表を見て、びっくりした。
「こんなに高いんですか」
「はい、気をつけます」
「それから……」
課長が黒い革の手袋をカウンターの上に置いた。
「この二つのうち、どっちが本革で、どっちが合成皮革かわかるかな?」
「ええーっ!両方、本物に思えますけど」
「これが、見分けられないと、預かれないねえ」
「そうですよね」
「それじゃあ、今から教えてあげよう」
一見、一組の皮手袋に見える左右の違う手袋を課長がはめる。
「目を閉じて、肌で感じてみるんだ」
「あっ……」
左のふくらはぎに、課長が左手にはめた皮手袋の感触がする。
膝の裏側を擦り上げるようにして登ってきた革の感触が、スカートの中に入ってくる。
太腿の裏をたどって尻にたどりつくと、その感触は私の尻を撫でさすりながら、尾てい骨を軽く押した。
「今の感触を覚えておいて」
そう言うと課長は今度は右手で私の右足に同じことをした。
「どっちが本物の革だか、わかったかな?」
「もう一度、してください」
左右の脚に同じことを繰り返ししてもらう。
右足に感じる柔らかいなめし皮の感触が、私の性感を高めていく。
私の足首を掴んだ皮手袋がふくらはぎを揉むようにしながら登ってくる。
膝の裏を撫でられて、太腿の裏側にまで上ってきたその手が、前に回ってさらに太腿を撫でまわす。
私は、膝がくずれそうになって、慌ててカウンターに手をついた。
「このくらいで、立っていられないのかな、小百合さん」
「あぁ……いじわるしないでください」
「意地悪なんかじゃないよ。
仕事を教えているだけだ」