スマートでハンサム

今日もヒマだわ。

 

秋は忙しいって、聞いてたのに。

 

忙しかったのは、セールのチラシを配った期間だけで、それを過ぎたらまたヒマになってしまった。

 

こんなにお客さんが少なくて、パートの給料なんか払ったら赤字なんじゃないかしら。

 

そんなこと私が心配することないんだけど、クビになったら困るなあ。

 

本当のところ、別に困りはしないけど……。

 

ここのパートを辞めたら課長との縁が切れてしまう。

 

それが、ちょっと残念なだけ。

 

閉店後に、ときどき課長がここにくる。

 

このクリーニング取次ぎ店は、地元工場の直営店舗だから、オーナーは課長。

 

だけど、実際には奥さんが全部取り仕切っている。

 

課長は、工場のほうの仕事をしてるのかしら。

 

それとも営業活動?

 

そんなことに、興味はないのよ。

 

夫のつたない行為なんかじゃ、物足りなくて……。

 

今日あたり、課長が来そうな気がするの。

 

だから、私はスカートの下に、なにも履かないでカウンターの中に立っている。

 

課長の指が私の秘部に触れるところを想像しただけで濡れてきてしまう。

 

本当に、今日きてくれないかしら。

 

まだ、昼間だっていうのに、こんなことばっかり考えてしまう。

 

こんなに淫乱な女にしたのは課長なんだから、責任取ってもらわなくっちゃ。

 

「小百合さん、ボーッとしてちゃダメだよ」

 

「あっ、すみません、課長いらしてたんですか」

 

「ヒマだからしかたないけどねえ」

 

「本当に、すみません」

 

四十代前半らしい課長は、背が高くスマートで顔もハンサムだ。

 

いかにもオバサンって感じの年上の奥さんとは釣り合わないわよね。

 

「今日は、皮革製品の取り扱いについて教えにきたんだけど、今、いいかな?」

 

「はい」

 

「皮革製品は、うちの工場でクリーニングするんじゃなくて、専門のところに出してるから、気をつけてください。

 

2〜3日では仕上がりませんよ」

 

「どのくらいかかるんですか?」

 

「1ヶ月〜2ヶ月だね」

 

「そんなに!」

 

「今ごろ、持ってくるお客さんがいるけど、すぐに着るっていうんだったら預からないでね」

 

「はい」

 

「本来、シーズンオフに出してもらうものなんだよ」