微妙な指や舌の動き

「松富さん、こちらが佐々木さんのお嬢さん。」

 

枝妻夫人が美奈代を紹介した。

 

美しい今日子が見合いの相手ではないことを知って、松富は落胆の色を隠そうともしない。

 

彼と美奈代は無言で会釈を交わした。

 

「サキちゃん、こちらが松富さん。」

 

美奈代は、挨拶は済んだとばかり、顔を伏せて松富を見ようともしない。

 

「松富さん、ここは初めてでしょ。

 

今日はあいにくの雨だけど、ここから見る庭の風情は、地元でもちょっと自慢できるのよ。

 

さっそく料理を運ばせますから、お楽になさって。」

 

気まずい雰囲気が最初から流れているのを察知して、佐々木夫人が場を引き立てるように言った。

 

やがて、一同4人は飲食を始めた。

 

佐々木夫人も枝妻夫人もかなりの酒豪であり、二人はよく飲み、かつ、松富に酒を注いだ。

 

松富は夫人たちの話に適当に相づちを打ちながら、杯を重ねている。

 

美奈代はそんな3人を尻目にマイペースで黙々と酒や食事を口に運んだ。

 

座のハイペースに、今日子と下足番の初老の男は、さっきからひっきりなしに銚子の上げ下げを繰り返している。

 

時計を見ていた美奈代は、やがて座を立ち、廊下に出ると下足番の男をつかまえた。

 

「来た?」と小声で聞く美奈代に、男は欠けた前歯をむいてニッと笑った。

 

「お待ちですよ、お嬢様。」

 

美奈代は、廊下を挟んで広間と反対側にある一室の襖を開けてみる。

 

そこには岩本が全裸になって、夜具の上にあぐらをかいていた。

 

岩本は立ち上がると美奈代を抱きしめ、口づけしながらその躯を横抱きにし、夜具の上で折り重なった。

 

決して豊かとは言えない美奈代の乳房だが、男の微妙な指や舌の動きを敏感に受け止め、心地よい性感を伝えてくる。

 

あの快楽の予感が電流のように体の中を流れ始めた。

 

美奈代は目を閉じて、岩本にすべてを任せた。

 

男の手が美奈代の下半身をまさぐり始める。

 

躯の奥にジワーッと熱いものが生まれ、上下にゆっくり動き出した。

 

手指がパンティの中に侵入し、ジットリと湿った花園の中を探索すると、媚肉はそれに応えるかのように熱い愛液でそれを迎えた。

 

「ビンビンに感じてますね。

 

お嬢様。」

 

岩本が耳元でそっとささやいた。

 

その吐息が耳朶を優しく打って、美奈代の性感をいやが上にも高める。